ケアとアートの新しい可能性を社会に提案する事業がん患者やその家族が描いたアートを用いたQOL向上のための商品の開発。
2024.03.06
さつきデザイン事務所(大阪府豊中市 代表者:榎原理絵)は、がん患者が治療中、少しでも苦痛を伴わないように、そして、当事者やご家族‧友人が言葉にできない思いを伝えられるように、アートを介したコミュニケーションの方法を提案。今回は、抗がん剤などによって髪の毛が抜けた際に使用するスカーフを提案する。闘病者やそのご家族‧友人がスカーフに使用するアートを描き、そのアートをスカーフのデザインに編集しプリントを行う。素材は、肌に優しい上質の素材(シルク混)で生産し、その スカーフを自社ECサイトで受注販売する。がん患者が闘病中の収入を確保できる仕組みを構築し、2024年10月始動を目指す。https://www.satsuki.design
背景・目的
さつきデザイン事務所代表である榎原理絵は、2021年京都芸術大学大学院学際デザイン研究領域入学と同時に乳がんを患い、シングルマザーとして子育てと仕事、学び、そして治療(抗がん剤、手術、放射線治療、経口抗がん剤、他)をこなし、2023年3月にMFA(芸術修士)を取得。
また、2023年4月より京都芸術大学大学院研究員として「遊びごころを用いたコミュニケーションデザイン」を研究し、「アート×福祉」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成するプロジェクト、東京藝術大学Diversity on the Arts Project
(DOOR) を受講。2024年3月に修了予定。自身の闘病経験と研究を踏まえ、社会課題の解決策や新たな価値づくりを提案している。
具体的な取組
アートの力で心を癒し、勇気と希望が得られるアイテムを考案。病気や過酷な治療によって、髪の毛が抜けるなどの容姿の変化が起きても、自己表現が制限されないように、当事者や愛する人たちがアートを描き、スカーフに仕上げていく。
①商品開発
ウィッグ装着時の締め付けられるような痛みが、スカーフを巻くことで軽減されることを経験済みのため、アイテムはスカーフとする。また、素材はシルク混の生地を用いる。理由は、シルクは通気性がよくサラサラした素材特性を持っているため、痛みが軽減されるからだ。なお、スカーフは頭につけるだけでなく、治療中体温調節がうまくできなくなるので首や手首に巻いて温めたり、元気になった際はカバンなどにもつけることができるため、治療が終わったあとも使い続けられる。スカーフは人から人へ継承できるサステイナブルなアイテムである。
②アート制作
スカーフに用いるデザインは、当事者やその家族が描いた絵や写真などを提供してもらう。そして、私がスカーフのデザインへと編集する。子どもを持つ私が乳がんになり、子どもが描いた絵をスカーフにして身につけ、勇気づけられたことからアイデアを得て実行する。自分自身へ、家族へ、大切な人へ、それぞれ愛する者たちが、自分の言葉にできない気持ちをアートで表現することで、未来への希望や生きる力を感じてもらえるように。さらには、痛みや不安を軽減させるケアするアイテムにする。なお、X(ツイッター)で1000人ほどのがん患者とつながっているので、Xで呼びかけて仲間を募る。
現在は、商品の試作段階であるが、プロトタイプを作成し分析後、2024年10月末の開始を予定する。がん患者からのデザイン提供は初期15名の参加を目標としている。
<3つの特長>
1:病状に合わせ肌に優しい上質の素材(シルク混)で作るが、治療に費用がかかることから、シルク素材で小ロット生産であってもお買い求めやすい価格を目標にする。
2:当事者やそのご家族、友人の描いたアートを、当デザイン事務所にて編集して、スカーフに仕上げます。アートを用いたケアを実践するアイテムにしていく。
3:がん患者が闘病中に収入を確保できる仕組みを構想。がん患者であっても生活者であり、子育て中の方も多く、働かなければならない現状を踏まえ、少しでも助けになるような仕組みをつくる。
今後の展望
闘病者が闘病中に解雇され、仕事を失うことがあっても、この事業によって収入が得られ安心して治療に向き合えるようになるように、多様な社会に適した環境や仕組みづくりを行う。そして、アートを用いて痛みや辛さを自己表現することで、がんを患っていたとしても最期まで「よく生きること(well-being)」が目指せるように、社会の中に優しい人と人とのつながりを作り出し、創造的な表現活動に取り組む。
展示会出展のお知らせ
さつきデザイン事務所は2024年3月13日(水曜日)大阪産業創造館にて開催される「この街のクリエイター博覧会2024」に出展します。
「この街のクリエイター博覧会2024」は、大阪に根付くクリエイターたちが集結し、各自の強みや得意技‧サービスなどを発信するクリエイターの祭典です。デザイン、Web、映像、写真、イラスト、漫画、アニメーション、ゲーム、CG、音楽、建築、ライティング、出版、印刷など、さまざまな分野のクリエイターが出展します。また、関連企画として、企業とクリエイターとがコラボを生み出す秘訣や、クリエイターの生き残り方をテーマにしたトークイベントも同日開催されます。
開催日時:2024/03/13(水)
時間:10時半~18時(入場は閉館30分前まで)入場料:無料(完全事前申込制)
事前申し込みが必要です。こちらからお願いします。 https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=42966
会場:大阪産業創造館 3F‧4F‧17F(受付は4F)
大阪府大阪市中央区本町1-4-5
https://www.sansokan.jp/
▶このイベントの詳細はこちら
https://www.mebic.com/event/2024-03-13.html
さつきデザイン事務所は、4階のA51で出展しております。
終日ブースにおりますので、この事業についての取り組みや日頃のデザイン‧ブランディング事業についてお話しできればと思います。なお、さつきデザイン事務所のブースに て、当事務所がサポートしている活動も展示します。
これらの活動の各担当者が会場にいる場合は、直接お話しができますので、良ければ会いに来てくださると嬉しいです。
1. カテーテルをしていても着られるワンピースの企画について
カテーテルをしていても着ることができるワンピースの制作。
病気をすると、一人ひとりが特別な存在であるということに気づく。そんな特別なひとりのために、入院中でも快適に過ごせて、気持ちを明るくしてくれるワンピースに仕上げていく。素材として選んだのは、快適に着られる薄手の綿。シワにならず、お手入れも簡 単。小さくたためるためコンパクトに収納でき、入院している子どもたちのお洋服に使う素材としてピッタリ。さらに、見るだけで心が躍るような、鮮やかな色合いのプリントデザインを厳選する。また、1点1点手作業で作るため、人の温もりとやさしさを込めている。
お子さんが小児がんになり、1年弱に及ぶ入院生活の中で、お母さんと子どもがお揃いの明るく可愛らしいワンピースを着ることで、着ている本人はもちろん、一緒に病気と戦うお友だちやそのママたちの心も楽しい気持ちになった経験からこの企画を構想し、現在試作を重ねています。色とりどりのプリントワンピースを纏うことで、当事者、家族、医療従事者を笑顔で彩れるように進めています。
2.がん患者の不安や心配を軽減できるノートの企画について
治療中に役立つ、保険や各種制度の一覧、高額療養費制度や医療費控除について、知っておくと便利な情報を掲載したノートを作成。日々の医療費と月ごとの医療費を管理できるページも用意。また、医療者と一緒に相談しながら治療法を決めるための補助ツールとしても活用できる。がんの疑いで検査結果を待っているあいだから、自身の気持ちを書き出し、気持ちを落ち着かせるために使用することができる。
毎年約100万人が「がん」と診断される。
がんと診断されると、多くの人が精神的に不安定ななか、短期間で治療法の選択、仕事の調整、経済的な問題への対応を行うのが現状である。多くの患者が医療従事者に自身の気持ちやつらさをどう伝えればいいのか、言いたいことが上手く表現できない、伝わらないといった悩みを抱えている。私は、このようながんと診断されてからの不安やつらさ、困りごとを少しでも軽減するサポートができないかと考えノートを企画中。
3.アートや自然に触れあい、五感を大切に育てる「ノビシロ」
ノビシロは、重症心身障害児、医療的ケア児専門の児童発達支援‧放課後等デイサービスの事業所です。大阪JR京橋駅から徒歩5分。病気や障害と共に生きる子どもと、自宅でケアする保護者が、心と体の健康を維持できるようサポートする事業を行っています。2024年6月OPEN予定。
さつきデザイン事務所の事業概要
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- 事業名
- さつきデザイン事務所
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- 業種
- ファッション
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- 事業内容
- デザイン
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- 所在地
- 豊中市
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- 電話番号
- 05052427432