みなさんは、プレスリリースの書き方を理解しているでしょうか?
メディアの記者や編集者のもとには、毎日多数のプレスリリースが届きます。記者は、大量のプレスリリースの内容を瞬時に判断し、記事としての価値があるかどうかを決定しています。
熱心に書いたプレスリリースを届けても、記者や編集者に読まれなければ記事なりません。
それでは、記者や編集者に取り上げてもらうにはどんなプレスリリースを書けば良いか。
プレスリリースの基本的な書き方と構成を解説していきます。
プレスリリースとは?その目的と読者は?
プレスリリースの読者は、プレスすなわち報道関係者です。
メディアの記者や編集者などがそれにあたります。報道関係者に対し、記事や番組にして欲しい情報を伝えることがプレスリリースの目的です。
プレスリリースの結果としてメディアが記事や番組として取り上げ、世間に広く知られるようになれば理想的な結果といえるでしょう。
メディアは、読者や視聴者が関心を持つ話題を、常に探しています。
報道関係者にとって送られてくるプレスリリースは情報の元ですので、チェックしています。
しかし、すべての情報が記事になるわけではありません。
記事や番組に取り上げられるには、ニュースバリュー(記事にする値打ちや価値)が必要なのです。
報道関係者に、内容のニュースバリューが高いと理解させ、記事にしたいという気持ちにさせること。
それがプレスリリースに求められます。
広報と広告との違い
最初に、プレスリリースなどの広報活動と広告との違いを簡単に説明します。
広報とは
広報は、PR(Public Relations)とも呼ばれ、企業や団体などの活動や商品・サービスなどの情報を世の中に発信していく活動です。
広報活動では、企業や団体の情報をメディアに掲載してもらうことが重要な業務のひとつです。
記者や編集者など担当者のリストを作成し内容に合ったメディアに直接送付することもあれば、一度に大量のメディアにプレスリリースを配信することが可能なプレスリリース配信サイトを利用する場合もあります。
プレスリリースが記事や番組になれば、多くの人々に情報を伝えることができます。
第三者であるメデイアが取り上げることで情報の信頼性も担保されるのです。
広報の業務には、ほかに企業や団体の公式WEBサイトの構築なども含まれます。
広告とは
広報とは違い、広告はメディアの広告枠を購入し、自社で制作した広告原稿やCMなどを掲載する活動です。
記事にされるかどうかわからない広報とは違い、広告枠を購入しメディアの審査に通れば、掲載されます。
プレスリリースにより記事や番組に取り上げられるのは無料ですが、広告は広告枠の料金が必要です。
広告は、企業や団体が比較的自由に表現できるのが特徴です。
消費者に抱いてもらいたいイメージ、ファン層の共感を得るために、ビジュアルとコピーによるクリエイティブに注力したり、著名人やタレントを起用したりとさまざまな手法があります。
メディア以外にも、交通広告や屋外メディア、展示会への出展やイベントの実施などプロモーションも広告の分野です。
記事になりやすいプレスリリースの4つのポイント
プレスリリースに掲載されている内容にニュースバリューがあるか否かが、記事や番組になるかどうかの決め手となります。
ニュースバリューの高い情報とはどのようなものか、説明しましょう。
社会性やトレンドとの一致
メディアの記者や編集者が取り上げるには、世の中に注目される内容であることが重要です。
特に、社会の課題を解決する商品・サービスや、トレンドにマッチした背景を持つビジネス展開などは共感性が高く注目されるため記事にする価値が高いと考えられる傾向にあります。
SDGsや脱炭素などの社会的課題に対応する商品・サービスやビジネスなどが記事になりやすいのは、社会性が高いからです。
SNS映えを意識した商品や、ファッションや食の流行と連動した活動や商品などは、トレンドに合ったものとして記事になりやすいでしょう。
クリスマスイルミネーションや、ハロウィン向け商品など、季節のイベントに合わせた商品・サービスもニュースバリューは高くなります。
新規性のあるもの
今まで世の中になかったサービスや商品も、話題性が高いため記事にされる機会が増えます。
商品・サービスやビジネスの価値そのものがニュースバリューになるのです。
生活や仕事をとても便利にする商品やサービスが新たに導入されると、ビジネス系ニュースだけでなくさまざまなメディアが取り上げます。
しっかりとしたデータや証拠がある場合は、日本初、世界初という言葉を使用することができますので、インパクトのある商品・サービスとして紹介されるでしょう。
意外性のあるもの
商品・サービスの開発と密接に関わりますが、常識をくつがえすようなものは世の中の注目を浴びる傾向にあります。
意外な色使いや季節や習慣に反するもの、素材が意外などインパクトのある事実があれば、それはタイトルやリード文ではっきりと提示しましょう。
企業や団体が独自に実施した調査レポートなどをプレスリリースにする際には、意外な結果があるとニュースバリューが高いといえます。
希少性のあるもの
期間限定のもの、数量限定のものなど希少な商品・サービスもニュースバリューがあります。入手困難な材料を使用した商品や、高級な食材を使った食品などもその類です。
また、熱心なファンが多いアニメやアイドルなどとの期間限定のタイアップなども、目玉になりますので、プレスリリースで強調すれば記事化されることが多くなります。
プレスリリースの基本的な構成
発表する内容のニュースバリューを報道関係者にしっかりと伝え、記事や番組にしてもらうためには、プレスリリースの書き方が重要になります。
どれほど画期的なサービスや商品、社会的に意義のあるビジネス展開などの話題でも、プレスリリースの書き方が効果的でなければ、記者や編集者は途中で読むのをやめてしまうでしょう。
それでは、プレスリリースの最低限に抑えなければならない構成について説明していきましょう。
ヘッダー
プレスリリースのヘッダー部分では、新しいプレスリリースであることをしっかりと伝えなければなりません。
通常は、左上に宛先として「報道関係各位」、中央に「プレスリリース」という言葉を書き入れます。
右上には、配信の日付と企業や団体の名称を入れましょう。
名称は、法人格も含めた正式名称を入れるのがマナーです。
タイトル
プレスリリースの読者である記者や編集者は、いわばニュースの目利きです。
プレスリリースが届き、タイトルとリード文(導入文)を読んだだけで、メディアに掲載する価値があるかどうかを判断します。
プレスリリースにとって、タイトルはとても重要なのです。
ニュースバリューのある内容をタイトルに盛り込むことで、報道関係者の興味や関心を得ることができます。
短い文章で、情報の価値を伝えるタイトルを作るためには、熟慮し、時間をかけたいものです。
タイトルとリード文は、プレスリリース全体が完成したのちに書くのが良いでしょう。
リード文
リード文はプレスリリースの「結論」を短い文章でまとめ端的に書きます。
忙しい記者は多数のプレスリリースに目を通しますが、全体を読むわけではありません。タイトルとリード文を読んで記事にするかどうかを決定しています。
リード文の役割は、プレスリリースを捨てられないようにすることといえるでしょう。短い文章の中で必要なことを抜け漏れなく入れ、プレスリリースの全容がわかるように書きます。
注意したいのは、大袈裟な表現や形容詞の多い文章にしないということです。プレスリリースは広告とは違いますから、事実を淡々とポイントを押さえて書くことが必要。感情を煽る表現や感嘆詞(!)なども使わず、シンプルに書くようにしましょう。
書き方として、5W1Hを意識してチェックするようにしましょう。情報に抜け漏れがなくなります。
5W1Hとは、「Who=誰が」「When=いつ」「Where=どこで」「What=何を」「Why=なぜ」「How=どのように」です。
伝える情報の種類に応じ、必要な場合「How much=いくらで」を入れた5W2Hでチェックすることもできます。
本文
本文で大切なのは、記者や編集者が記事を書くのに必要な情報を抜け漏れなく書くことです。
プレスリリース全体にいえますが、常に、読み手を意識し整理された情報を書くように努めましょう。
本文の部分は自由に展開できますが、ここでも大袈裟な表現や形容詞は使わないことが重要です。
内容は最も重要な結論から順に詳細に入っていく流れが良いでしょう。
以下に展開の一例を紹介します。
1. 結論 何をすることを発表するのか。新商品の発売やイベントの実施などについて詳細を書きます。
ここでも5W1Hを意識し情報の抜け漏れがないようにします。
2. 社会的背景やトレンドからの課題やニーズ
3. 商品・サービスが解決すること。社会や生活への影響
4. 課題解決を可能にした独自の視点や技術の紹介
5. 新商品やイベントなどの優位性、唯一性、希少性など
6. キャンペーンなどの情報
プレスリリースには、商品やイベント・セミナーに関するものだけでなく、経営上の資金調達や提携などのトピックスの場合もあります。
本文で大切なのは、発表するトピックスが、社会や生活をどう変えるのかを事実として伝えることです。
客観的なデータなども使い、記者が良い記事を書けるようにイメージしながら構成し書きましょう。
写真・映像
WEBニュースでも、マスコミの報道でも画像や映像のインパクトは重要です。
画像は最低でも一枚は添付しましょう。
画像は、そのまま記事に使用できることが前提ですので、サイズや大きさにも気をつけます。画像は5MB以下にすると受けての負担を軽減できます。
雑誌や新聞など印刷物を想定する場合は、別途大きなサイズの画像がダウンロードできるサイトへのリンクの利用も効果的です。
リードやタイトルと同じくらい記事にインパクトを与えますので、効果の高い画像を選択しましょう。
問い合わせ先
プレスリリースは発行しただけで終わりません。記事にしようとする場合、追加取材や確認などがありますので、担当者の連絡先は絶対必要事項です。
社名(正式社名)、住所、代表電話番号、担当部署、担当者名、担当者電話番号、担当者メールアドレスの各項目は必ず記入してください。
プレスリリースの配信前に注意したいこと
プレスリリースは、発信してしまうと独り歩きしていきます。誤った情報が書かれていないかチェックすることは重要です。
プレスリリースを読んだ記者から取材の申し込みがあれば修正の機会もありますが、ほとんどのメディアはプレスリリースの内容から記事を作成します。
そのため商品・サービスの名称や期間など5W1Hに関わる情報に間違いがあると、記事になった際に間違いの情報が掲載され修正も困難です。SNSなどで拡散された場合には、誤った情報がそのまま広まってしまいます。
また、基本的なことですが、誤字脱字も禁物です。
記者や編集者は記事のプロですので、誤字脱字には敏感。プレスリリースの情報の信頼性にも関わることになります。
配信や発信の前には、必ず複数人で情報の正確性と誤字脱字をチェックするようにしましょう。
まとめ
今回は、プレスリリースの読者と目的、書くにあたってのポイント、基本的な構成などプレスリリースの書き方について説明しました。
メディアにとってニュースバリューのある情報は、それだけで記事にする価値のあるものですが、プレスリリースが読まれなければ記事になることはありません。
記者や編集者の立場になり、読みやすくポイントをおさえたプレスリリースを書くことで、記者や編集者の目を引き、記事になるチャンスが増えるのです。
メディアに取り上げられる記事や番組は、広告枠の料金を支払うことなく世の中に広めることができます。
効果的なプレスリリースを書くように努めましょう。
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